でんさい活用セミナー【名古屋】

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でんさいネット活用セミナー(名古屋)

2015年11月16日、名古屋の栄ガスビルにおいて、「でんさい」の利用を検討されているお客様や「でんさい」を利用しているお客様を対象に、「でんさい活用セミナー」を開催しました。
当日の講演要旨や資料を掲載していますので、ぜひご覧ください。

「電子記録債権のこれまでとこれから」
金融庁 中村 香織氏


金融庁

総務企画局 企画課 課長補佐
中村 香織氏


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【講演要旨】

金融庁は電子記録債権の普及や利用促進に取り組むことで、全国の企業の資金繰りをサポートしたいと考えている。
電子記録債権制度の創設の背景には主に3点の要因が挙げられる。
1点目は、中小企業の資金調達環境の悪化である。中小企業向け貸出金の減少や手形取引の縮小により資金調達手段が限られていた。
2点目は、売掛債権や手形の課題である。売掛債権は二重譲渡のリスク等があり、手形は、作成・交付等の事務コストや紛失・盗難のリスク等がある。
3点目は、IT化の進展により、商取引の電子化が進むとともに、債権の電子的取扱いへの期待が高まってきた点である。
そうした背景のもと、平成15年に「e-Japan戦略Ⅱ」において電子手形サービスの導入が盛り込まれたことを契機として、平成20年に電子記録債権法が施行された。
現在、都市銀行3行と全銀協がそれぞれ母体となる、4つの電子債権記録機関があるが、でんさいネットのサービスは手形の代替が前提にあり、様々な企業間で債権を転々流通させることができる。
電子記録債権における支払企業のメリットは、事務負担の軽減、搬送コストの削減、印紙税が不要な点等が挙げられる。一方、納入企業のメリットは、紛失・盗難リスクの排除、取立に係る事務負担の削減等がある。また、電子記録債権は分割して譲渡できることから、譲り受ける企業の資金繰りをサポートすることができる。
金融庁では昨年10月に「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」を立ち上げ、決済および関連する金融業務のあり方等について多角的に検討し、その中で電子記録債権についても取り上げている。今年4月には、スタディ・グループの中間整理が公表され、電子記録債権についても今後の課題がまとめられた。今後の課題として、電子債権記録機関間での債権の移動、地方自治体での活用、アジア等への海外展開など、更なる利用促進方法の検討が挙げられている。これを受けて立ち上げられた「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」第3回(今年11月4日)において、電子記録債権制度のあり方について議論が行われたところである。
電子記録債権制度は日本発の先進的な取組みであり、アジアの新興国から関心が寄せられていることから、将来の展望として、アジアでの電子記録債権制度の展開の可能性もあるのではないか。
金融庁としては、電子記録債権の一層の普及のために、制度面や実務面の見直しも行いながら、多くの方々のニーズに対応できるようにしていきたいと考えている。

「電子記録債権取引における法律上の留意点」
TMI総合法律事務所 葉玉 匡美弁護士


TMI総合法律事務所

葉玉 匡美弁護士


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【講演要旨】

電子記録債権法は、いかに安く安全に債権を発生、譲渡、決済をすることができるかという観点から立法されており、非常に便利な制度である。
電子記録債権と聞くと「難しい」と感じる方もいると思うが、法律的な権利の強さや内容は、基本的には手形と同じであり、電子的に発行や譲渡をできるようにしたものと考えればよい。
本日は、でんさいネットのコールセンターに寄せられている照会事項をもとに、電子記録債権取引における法律上の留意点として、以下の点について解説する。

①電子記録債権取引全般
 ファクタリングや期日振込との違い、領収書の取扱い等
②下請法上の取扱い
 下請代金の支払いとして利用する際の留意事項、手数料負担の考え方等
③支払不能時の取扱い
 支払不能でんさいの請求方法、譲渡した「でんさい」が支払不能となった際の責任等

「でんさい利用企業からの事例紹介①」
株式会社長谷工コーポレーション 遠藤 妙子氏


株式会社長谷工コーポレーション

経理部 チーフ
遠藤 妙子氏


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【講演要旨】

以前から手形発行業務に対する改善意識があり、セミナー参加等を通じて電子記録債権についての情報収集を行っていたが、協力企業様の同意がどの程度得られるのか、またシステム改修等の投資コストに見合うのか等、導入効果が不透明と認識していた。
一方、施工量増加に伴い手形発行枚数が増加してきたため、手形発行業務の見直しが喫緊の課題となり、昨年末頃より社内検討を本格化した。その際、①手形発行業務の削減、②手形印紙代の削減、③現物管理の削減の順に社内の整理を行った。
その上で、本年2月、前月末に手形支払のあった協力企業様約500社を対象に、電子記録債権の受取意向確認のためのアンケートを実施したところ、5割以上の先が既にでんさいを導入済みであること、また7割以上の先が電子記録債権への変更を前向きに検討していただけることが分かった。当社の予想を大きく上回る結果に大変驚くとともに、協力企業様の間で電子記録債権が広く認知されていることを改めて認識した。
アンケート結果から十分な導入率が期待できるものと判断し、導入に向けた課題や確認事項を一つ一つ整理し、準備を進めた。導入する電子記録債権は、①出納業務への影響が軽微、②協力企業様のニーズに合致、③流通性の高さ、④高い導入率見通し、⑤初期投資の早期回収等から検討し、「でんさい」を選定した。
本年8~9月にかけて、メインバンクやでんさいネットの協力を受けて東京、大阪で計4回の協力企業様向け説明会を実施した。その際に実施したアンケートでは、導入を前倒しにして欲しいとの意見がある一方、協力企業様の取引先でのでんさい契約の問題や、他の電子債権記録機関との混同などの問題点が見られた。
今後は、平成28年1月の利用開始に向けて、協力企業様の登録内容の確認や改修するシステムの動作確認等、協力企業様にご迷惑をおかけすることの無いよう、万全の準備を進めていく。なお、9月末時点で、でんさいによる受取同意を約540社からいただいている。引き続き導入率の向上を目指していきたい。

「でんさい利用企業からの事例紹介②」
株式会社KVK 安藤 正晴氏


株式会社KVK

経理部 次長兼経理課長
安藤 正晴氏



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【講演要旨】

当社は、手形支払事務として手形の郵送、領収書の回収を実施しており、また、印紙代が毎月約20万円かかっていた。この負荷軽減のために導入検討を始めた。
導入前の銀行振込と手形支払の割合は9%と91%で、平成25年9月時点の手形支払事務の詳細は以下の通り。
支払会社数:122社、手形発行枚数:208枚、収入印紙代:197千円、作業時間:7.5時間


導入への取組は、平成25年10月21日支払分からスタートするために全体計画を立てて、同年7月に導入する銀行選定と資材部説明から開始した。その後、情報システム部によるプログラム作成・検証やでんさい利用申込、経理処理検討や仕入先企業アンケートと利用者番号取得を進め、無事予定通り10月21日スタートした。
まず、対応と使い勝手の良いことをポイントとして銀行選定を行った。
情報システム部のプログラム対応については、最初から構築すると時間がかかる部分であるが、当社は既にファクタリングの仕組みを導入済であったことから、これをでんさい用に置き換えができたため、スムーズに対応できた。
でんさいの利用申込みはメイン行でインターネットバンキングを導入済であったこともあり、利用者番号の取得も容易に済んだ。
資材部説明は、経理部から資材部に対し、仕入先企業からの問い合わせ対応やでんさい利用要請を円滑に進められるよう丁寧に行った。
会計処理は公認会計士と相談し、経理処理に「電子記録債務」という新規科目を登録した。
仕入先企業アンケートは最も大事かつ手間がかかる部分であるが、手形に「でんさい利用に関するアンケート」を同封し、検討中・利用しないとの回答には理由を記入してもらうとともに、利用説明会希望の有無を確認し、説明会を実施してフォローした。
その結果、平成27年9月末時点では、銀行振込は10%、手形支払は18%、でんさいは72%になり、詳細は以下の通り大幅な削減を実現できた。


手形支払先会社数:30社
手形発行枚数:45枚
収入印紙代:32千円/月(年間で約200万円の削減)
事務作業量:1.6時間/月(年間で約72時間の削減)


今後の課題としては、継続的にでんさいの導入と受取の開始を呼びかけていくことにある。

「でんさい利用企業からの事例紹介③」
徳倉建設株式会社 立花 眞昭氏


徳倉建設株式会社

執行役員経理部長
立花 眞昭氏



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【講演要旨】

でんさい導入前の当社の支払いは、金額ベースで振込が36%、手形が64%であった。
当社の協力企業は多くが中小企業であり、協力企業のメインバンクは地方銀行や信用金庫であることから、電子記録債権を利用するのであれば、地方銀行や信用金庫でも利用できる「でんさい」を考えていた。
でんさい導入のきっかけは、昨年7月、協力企業で当社支払手形の紛失が発生したことである。協力会社には気の毒であったが、手形所持人から支払いを請求される可能性もあるので、除権決定がされるまで支払いができなかった。このようなリスクがある手形をいつまでも利用すべきではないと考え、自社のコスト削減や事務負担軽減のためではなく、協力企業のため、でんさいを導入することとした。
早期にでんさいを導入するため、社内で3つのチーム(協力会社へのアンケート実施チーム、システム対応チーム、金融機関対応チーム)を発足し、同時進行で準備を進めた結果、5か月間で導入することができた。
また、当社、システム会社および取引銀行、3社での合同打合せも行い、当社がでんさいを導入する目的を共有してもらい、でんさい導入に伴い解決すべき課題の抽出を行った。
協力企業に送付したアンケートには、手形で受け取る場合に生じるリスクを明記し、それを認識したうえで、でんさいに移行するかどうか検討してもらうこととした。
でんさい導入後の支払いは、金額ベースで振込が41%、手形が35%、でんさいが24%であり、手形での支払分の約4割がでんさいに移行した。
協力会社が集まる安全大会では、当社がでんさいを導入したことを報告し、アンケート未提出先には提出をお願いしている。
でんさいは利用者が増加すればするほど、利便性が増加する。これからも協力会社への啓蒙活動を続けていく。