でんさい活用セミナー【東京】

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「でんさい活用セミナー」【東京】

2016年2月17日、東京の経団連会館国際会議場において、「でんさい」の利用を検討されているお客様や「でんさい」を利用されているお客様を対象に、「でんさい活用セミナー」を開催しました。
当日の講演要旨や資料を掲載していますので、ぜひご覧ください。

「電子記録債権のこれまでとこれから」
金融庁 神田 潤一氏


金融庁

総務企画局企画課 信用制度参事官室 企画官
神田 潤一氏


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【講演要旨】

本日は、金融庁が電子記録債権にどのように関わり、今どのような取り組みをしているのか、そして、金融庁が企業の資金繰りや商取引においてメリットのある電子記録債権の普及を本気でサポートしていること、この2点について申しあげたい。
電子記録債権制度の創設の背景には、主に3点の要因が挙げられる。
1点目は、中小企業の資金調達環境の悪化である。中小企業向け貸出金の減少や手形取引の縮小により資金調達手段が限られていた。
2点目は、売掛債権や手形の課題である。売掛債権は二重譲渡のリスク等があり、手形は、作成・交付等の事務コストや紛失・盗難のリスク等がある。
3点目は、FinTech等IT化の進展により、商取引の電子化が進むとともに、債権の電子的取扱いへの期待が高まってきた点である。
そうした背景のもと、2003年に「e-Japan戦略Ⅱ」において電子手形サービスの導入が盛り込まれたことを契機として、2008年に電子記録債権法が施行された。
現在、都市銀行3行と全銀協がそれぞれ母体となる、4つの電子債権記録機関があるが、でんさいネットのサービスは手形の代替が前提にあり、様々な企業間で債権を転々流通させることができる。
金融庁では2014年10月に「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」を立上げ、決済および関連する金融業務のあり方等について多角的に検討した。その中で電子記録債権についても取り上げており、記録機関間での債権の移動、地方自治体での活用、アジア等への海外展開などが課題として指摘された。
これを受け、昨年12月に金融審議会の「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」において報告書が取りまとめられ、電子記録債権の利便性向上のため、地方自治体での活用や記録機関にかかわらず企業が取引銀行で債権の割引を受けられるようにする方策の検討が盛り込まれた。
今後は、電子記録債権の活用が拡大し、手形から電子記録債権へのシフトが加速していくことが望まれる。
また、将来の展望として、アジア等でもわが国と同様の電子記録債権制度が整備され、わが国のシステムとネットワークで結んでいくことなどにより、アジアとの商取引の拡大に繋がっていけば、利便性は更に高まっていく、そうした将来の大きな理想に向けて、取り組みを強めているところである。
電子記録債権は、多くの企業が利用することで、メリットがさらに拡大していくものであることから、より多くの企業が利用し、そのメリットを享受していただきたい。

「電子記録債権取引における法律上の留意点」
TMI総合法律事務所 葉玉 匡美弁護士


TMI総合法律事務所

葉玉 匡美弁護士


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【講演要旨】

電子記録債権法は、いかに安く安全に債権を発生、譲渡、決済をすることができるかという観点から立法されており、非常に便利な制度である。
電子記録債権と聞くと「難しい」と感じる方もいると思うが、法律的な権利の強さや内容は、基本的には手形と同じであり、電子的に発行や譲渡をできるようにしたものと考えればよい。
本日は、でんさいネットのコールセンターに寄せられている照会事項をもとに、電子記録債権取引における法律上の留意点として、以下の点について解説する。

①電子記録債権取引全般
 ファクタリングや期日振込との違い、領収書の取扱い等
②下請法上の取扱い
 下請代金の支払いとして利用する際の留意事項、手数料負担の考え方等
③支払不能時の取扱い
 支払不能でんさいの請求方法、譲渡した「でんさい」が支払不能となった際の責任等

「でんさい利用企業からの事例紹介①」
いすゞ自動車株式会社 高橋 昌幸氏


いすゞ自動車株式会社

財務・経理部 財務・会計グループ グループリーダー
高橋 昌幸氏


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【講演要旨】

当社は、でんさい導入前は、会社数で130社、月間350枚程度の支払手形の取扱いがあり、これによる問題点として次の2点があった。
①手形作成・発送用袋詰め・授受・現物管理等の手形発行業務の負担
②基幹システムやプリンター等手形発行システムの老朽化による代替投資の必要性
手形からでんさいへ移行すれば、これらを解決できるのみならず、サプライヤーにもメリットがあると判断したことから、でんさいの導入を決定した。
導入に向けた取組においては、購買・システム部門と財務部門が協業し、2013年6月に着手して10月に利用を開始しており、5か月間という短期間で対応することができた。利用開始当初は、事前アンケートをとって確認していたでんさい導入済企業と、グループ企業の30社程度で利用を開始した。その後、安定的に運用することを確認できてから、再度アンケートを行うなどして継続的にでんさいへの移行を勧め、2年経過した現在では、130社のうち85社(約65%)が導入済である。これは、もとから「小さく生んで大きく育てる」をモットーとして取り組んでいたこと、メインバンクのサポートがよかったことが要因と考えている。
でんさい導入のメリットとして、年間2千万円弱の印紙代削減と事務合理化を実現したので、でんさいに対応するのためのシステム投資コストはすぐに回収できた。事務合理化では、手形発行枚数が350枚から80枚に減少し、従来は月1回の手形の受渡日に昼休みを含んで9時から17時まで丸1日対応していたものが、でんさい導入後は来社する取引先が大幅に減り、昼休みを含むことなく15時には終わるようになり、事務負担を大幅に軽減できた。
でんさい導入で苦労した点は、社内システム(購買/経理システム)とでんさいシステムの連動や内部統制対応、開始当初のエラー対応などであった。
導入後の状況であるが、2016年1月時点では、手形発行枚数は月間350枚から約80枚に減少し、でんさいの支払は月間80~90件となっている。
今後の課題は、歴史のあるオーナー系企業や一部のサプライヤー等、未だ、でんさいを導入していない企業への対応である。これらの企業が導入していない理由には、インターネットバンキングを利用していないことや、手形現物を受け取らないと安心できないこと、また、手形を持ち込むことで金融機関とのリレーションを維持しているという思いがあり、でんさいという新しい制度に抵抗感があることなどがある。このような企業に対しても、引き続き事務効率向上等の合理性を訴え、でんさい導入企業の更なる拡がりを目指していきたいと考えている。

「でんさい利用企業からの事例紹介②」
株式会社KVK 安藤 正晴氏


株式会社KVK

経理部 次長兼経理課長
安藤 正晴氏



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【講演要旨】

当社は、毎月約200枚の手形を発行しており、発行手続、手形の郵送、領収書の回収に手間がかかっていた。また、印紙代が毎月約20万円かかっており、これらの負荷軽減のためにでんさいの導入を決定した。
導入前の銀行振込と手形支払の割合は9%と91%で、2013年9月時点の手形支払事務の詳細は以下の通り。
手形支払先会社数:122社、手形発行枚数:208枚、収入印紙代:197千円、事務作業時間:7.5時間

2013年10月からでんさいで支払を行うために全体計画を立て、同年7月に銀行選定と社内説明を実施した。その後、情報システム部によるプログラム作成・検証やでんさいの利用申込、経理処理検討や仕入先企業アンケートと利用者番号取得を進め、予定どおり10月からでんさいでの支払を開始した。
銀行選定は、対応と使い勝手のいいことをポイントとした。
情報システム部によるプログラム対応については、最初から構築すると時間がかかる部分であるが、当社は既にファクタリングの仕組みを導入済であったことから、これをでんさい用に置き換えられたので、スムーズに対応出来た。
でんさいの利用申込みはメイン行でインターネットバンキングを導入済であったこともあり、利用者番号取得も容易であった。
社内説明は、経理部から資材部に対し、仕入先企業からの問い合わせ対応やでんさい利用要請を円滑に進められるよう丁寧に行った。
会計処理は会計士と相談し、経理処理に「電子記録債務」という新規科目を登録した。
仕入先企業アンケートは最も大事かつ手間がかかる部分であるが、手形に「でんさい利用に関するアンケート」を同封し、検討中・利用しないとの回答には理由を記入してもらうとともに、説明会希望の有無を確認のうえ、説明会を実施した。

その結果、2015年9月末時点では、銀行振込は10%、手形支払は18%、でんさいは72%になり、以下のとおり大幅に負荷を削減できた。
手形支払先会社数:30社
手形発行枚数:45枚
収入印紙代:32千円/月(年間で約200万円の削減)
事務作業時間:1.6時間/月(年間で約72時間の削減)

今後の課題は、手形支払先に対し、継続的にでんさいの導入と受取を呼びかけていくことである。

「でんさい利用企業からの事例紹介③」
株式会社サクラクレパス 西村 盾彦氏


株式会社サクラクレパス

取締役副会長
西村 盾彦氏



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【講演要旨】

当社の従来の支払状況は、支払金額ベースで振込が61%、手形が39%、支払件数ベースで振込が49%、手形が51%であり、手形での支払をでんさいに移行することとした。
でんさいを導入した主な理由は、手形発行に係る印紙税の削減、手形発行・交付に伴う事務の軽減・効率化や手形の現物管理の合理化を図るためである。
支払側については、支払金額によってコストメリットに差が出てくるため、1件当たりの支払金額が大きい取引先に限定して導入した。一方、受取側については、取引先(お客様)に対する要望となるので積極的な勧誘はせず、取引先から導入要望があれば迅速に対応するという導入方針のもと、取り組みを開始した。
でんさいの導入にあたっては、担当者が中心となり、小集団活動を活用して取り組んだ。納入企業への案内状についてもメインバンクやでんさいネット社のサンプルを参考に作成した。導入の決定から約3か月後には、でんさいによる支払を開始することができ、想定していたよりもスムーズに導入することが出来た。
でんさいを導入した結果、手形発行に係る事務および印紙代を削減することが出来た。特に、支払手形の郵送事務を軽減できたことに、大きなメリットを感じている。また、でんさい導入後も手形発行事務が併存することから、事務負担の増加を懸念していたが、でんさいでの支払は想定よりも簡単で並行処理で対応できたので、実際には事務負担の増加はまったくなかった。
また、納入企業においても、手形の紛失・盗難リスクの低減、取立事務および領収書の収入印紙費用の削減といったメリットがあった。
2015年12月現在、でんさいの導入状況は、支払先が51社、導入率としては78%であり、発行残高は7億円。また、受取側は15社、受取残高は1億3千万円である。
今後は、対象となる支払先の導入比率90%超(金額比)を目指すとともに、受取側の導入要請に対して迅速に対応していきたい。また、近い将来、でんさいが爆発的に普及したときでもしっかり対応できるよう、社内の態勢整備を進めていきたい。